こんにちは。プラスチックの人・オカピです。
9月も半ばを過ぎ、朝晩は大分過ごしやすくなってきました。
秋の訪れを意識するようになってきたある日、移動中に車窓から見えたのは…お芋を収穫している農家さん。
車窓から望む、一面のサツマイモ畑
鹿児島と言えばサツマイモ、サツマイモと言えば芋焼酎!
鹿児島県在住の発酵大好き人間としては、このタイミングで芋焼酎の製造工程を学んでおきたい!
ということで、日吉町にある小正醸造株式会社さんに、見学に行ってきましたよ。
小正醸造株式会社さんは明治16年創業の老舗の蔵元さんです。
「小鶴」「猿」など、鹿児島では定番の焼酎から、クラフトジンやリキュールまで、蒸留酒を中心に幅広いラインナップの製品を展開されています。
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広い敷地内を歩き始めてすぐに見えたのが、サツマイモ。(鹿児島では「からいも」といいますね)
収穫時期には、毎日大量のサツマイモが運ばれてきます
これは「黄金千貫(こがねせんがん)」という品種のサツマイモ。
特徴は、なんといってもでんぷんが多いことだそうだそうです。
普段私達が食べているものよりも大きく、白っぽいクリーム色をしています
普段私達が食べている、紫色の皮のサツマイモのでんぷん含有量が20%ほどであるのに対して、黄金千貫は30%ほどにもなるそう。
でんぷんは麹・酵母により分解されてアルコールとなるため、焼酎造りにはでんぷんの多いお芋が選ばれるんですね。
県内の契約農家さんが大切に育てたサツマイモは洗浄・選別され…
蒸されて、粉砕されます。
細かく砕かれたお芋は、のちの工程、「二次もろみ」づくりに回されます。
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さてさて次は、「一に麹」と言われるほど焼酎造りで重要且つ最初の工程、麹造りの工程をたどっていきますよ!
焼酎造りでは、「黒麹」「白麹」「黄麹」の3種類の麹が使い分けられています。
「黒〇〇」「白〇〇」という焼酎の銘柄は、使われている麹の種類が由来になっているんですね。
もともと、焼酎造りには、日本酒と同じ「黄麹」が使われていました。
ですが黄麹は雑菌が繁殖しやすく、南国鹿児島での焼酎造りは失敗することが多かったそう。
そこで広まったのが、泡盛の製造に用いられる「黒麹」を使った焼酎造り。
黒麹を培養していく中で、胞子の色の抜けた「白麹」も生まれ、黒麹と共に焼酎造りに使われるようになりました。
衛生管理の進んだ現在では黄麹を使った焼酎造りも安定して行われるようになっています。
平成18年に、それまで少量・高価格商品であった黄麹焼酎を、初めてレギュラー価格で販売し始めたのが、小正醸造さん。
黄麴を使った焼酎は、日本酒にも通じる、さわやかでフルーティーな香りが特徴です。
麹菌は、蒸したお米に住み着いてお米のでんぷんを分解し、麹を作ります。
工場に運ばれたお米は大きな蒸し器で蒸され、麹菌が混ぜられて、約35〜40℃で温度管理されながら麹となります。
周辺にはお米の蒸されるいい香りが立ち込めています!
40時間ほどかけて、麹が育っていきます。いい麹になるんだよ~
麹は水・酵母と混ぜ合わされ、さらに約五日間の発酵期間を経て「一次もろみ」が完成します。
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出来上がった一次もろみは、先ほどのふかしたお芋と合わせて大きなタンク(容量20000L!)にうつされます。
さらに発酵させること約10日間。
出来上がるのが「二次もろみ」。
二次もろみの中には、味わいと香りとアルコールがたっぷり蓄えられています!
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次の段階は、皆さんお待ちかねの!蒸留です!
タンクがひしめき、パイプが張り巡らされたメカメカしい空間で、フルーティーな香りの蒸気につつまれ、私のテンションはうなぎ登りです!
注目はこちらの「横型蒸留器」。
横長の蒸留タンクを使うと、蒸気の中に香りや味わいの素となる成分が入り込みやすく、どっしりとしたコクのある焼酎となりやすいそう。
蒸留方法によっても味わいが変わってくるなんて…焼酎造りは奥が深いです!
その後、濾過・熟成・ブレンド・割水(目指すアルコール度数まで、地下水で原酒を割る工程)・瓶詰めなどの工程を経て、皆さんのもとに焼酎が届けられます。
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いままでは最新鋭の、大量に焼酎をつくる工程を見てきましたが、工場内の「師魂蔵」では、昔ながらの手法での焼酎造りも行われています。
ウェルカムボードを作ってくださっていました!ありがとうございます~
麹室で麹がつくられ…
黒麹が壁に住み着いています
甕で一次もろみ・二次もろみが育ち…
2次発酵2日目のもろみ。暖かくて、炭酸飲料のようにシュワシュワしています!
杉でできた蒸留樽で焼酎が蒸留されます。
90Lの二次もろみから、一升瓶250本分の焼酎が蒸留されます
職人さんの仕事を間近で感じられる、素敵な場所でした♪
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収穫して数日以内のサツマイモを使用するため、芋焼酎の製造は期間限定。
小正醸造さんでは、今年は10月末ごろまで芋焼酎の製造がおこなわれ、その他のシーズンは、米焼酎・麦焼酎などの製造に切り替わるそうですよ。
見学を通じて、芋焼酎づくりはとても奥が深いことが分かりました。
サツマイモの品種や熟成度合い、麹の種類や発酵のさせ方、蒸留の仕方など、様々な要因によって、味や香りが大きく変わるんですね。
いろいろな要素のベストミックスを求めて、日々職人さんが工夫を重ねていることが伝わってきました!
地域の芋、水、蔵でできたこだわりの芋焼酎。
涼しい秋の夜長に、日置市を想いながらゆっくりと晩酌してみては?
小正醸造株式会社さん、お忙しい中見学させていただき、ありがとうございました!
小正醸造株式会社さんウェブサイト: https://www.komasa.co.jp/
(オンラインショップ、見学申し込みもこちらのウェブサイトが窓口になっています)
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