​前置き

最初の投稿は湯之元の記事であった。当日朝に散策した記事を、滞在先である狐火ハウスで書いた。半年が経った今、改めてこの一日を振り返ってみたいと思う。


​降り立ったのは湯之元という小さな駅

まだ朝の冷え込みが残る午前9時すぎ、湯之元駅に降り立った。
バスターミナルやコンビニ(ヤマザキショップはある)はない。電車は1時間に1本。
ローカルで素朴な雰囲気に旅愁がそそられる。

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跨線橋からの風景(夏に撮影)


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かつては特急が停まっていた(夏に撮影)


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​どこか見たことのある川の風景


懐かしさ漂う温泉で、全身からリフレッシュ

川を越えると「めぐみの湯 錦龍館」へと着く。
お目当ての銭湯だ。金曜日が定休日であるため、週末帰省派としては土曜日朝が狙い目だ。


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休日の温泉は、何故ここまで贅沢なのだろうか。


中は熱めの内湯があり全身がすべすべになる。外は露天風呂と打たせ湯。広々としており、開放感抜群で全身からリラックスできる。趣向溢れた都会のスーパー銭湯も良いが、時にはこのようなシンプルな銭湯にホッとする。
最初はまだがらんとしていたが、浴槽から出る頃には地元の方々が次々と入ってきた。それだけ地元の方にとっては馴染み深いのだろう。
なお、こちらはシャンプーとボディーソープを持っていくことを勧めたい。

温泉に入ると、全身がポカポカになる。
ほのかに残る硫黄の香りも懐かしい。

湯之元にはこの他にも「元湯 打込湯」をはじめとした数多くの銭湯があり、街中の案内板もこのように全方位に指し示している。


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​全方位型案内板。すべて銭湯。アナログながらQRコードによるデジタル演出

ホカホカになって、よか気分でふらりと歩いていたら、とある一角に人だかりができていた。
時刻はまだ土曜日の午前。

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おや、この看板は

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「カメハウス ゆのもと」の看板

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​ゆのもとへ”うぇるカメ〜ん”

なんとカメハウス 「ゆのもと」プレオープンイベントが行われていた。移住希望者向けに、実際に住んで体験することができる施設であり、古民家の雰囲気を残し改装を行っている点が特徴だ。

こちらも元はクリーニング店だったそうだ。
確かに入り口のスペースに店舗があったと言われたら違和感はない。

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​たくさんの絵が並べられていた

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この空間にお店があったかもしれない

家主の方のお絵描き教室や折り紙教室が行われ、多くの子供連れが押しかけ、外では焼き餅が振る舞われていた。

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​「ジェラシー」という焼き餅。その美味さには焼き餅(ジェラシー)してしまいそう。

やわらかなお餅と甘めのお醤油がよく合う。寒空の下、熱々のお餅をいただけるのがまた最高の贅沢である。
中に入ると「どうぞ」と振る舞われたのが紙コップにいっぱい入った「がね」であった。さつまいもを細く揚げたもので、鹿児島の食卓によくのぼるありふれた料理である。
外はカリカリ、中はほのかに甘いホクホクなお芋は個人的にはフライドポテトよりも癖になる。

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真新しいエアコンが時代錯誤に感じるほど、歴史が詰まった調度品。アンティークの概念を超えそうだ。

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かつて文豪が旅館に籠り、小説を書いたと思わせる雰囲気。ここで執筆したら良き記事が書けるだろうか。

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縁側は何と二階にある

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柱時計は今も時を刻んでいる

昭和の時代を彷彿とさせる佇まいに、子供たちが描いた絵や折り紙が並ぶ。遠い昔、祖父母宅に帰省したときの風景がまぶたの裏に浮かぶ。
柱時計から畳から調度品から、止まっていた時にあの頃の記憶が重なり懐かしい気持ちになる。

人はいつかいなくなるが、思い出の一シーンとしてまたよみがえる。外に出れば、曲がりくねった迷路のような細い道。横にならび手をつないで銭湯まで歩く光景ーーー遠い記憶の片隅に眠っていたものがふと思い起こされた。

喧々しい日常のなかで、心だけでもあの頃に帰りたいと思ったとき、またこの街を訪れたい。

めぐみの湯 錦龍館
〒899-2201 鹿児島県日置市東市来町湯田3355


カメハウス ゆのもと
〒899-2201 鹿児島県日置市東市来町湯田2278
※事前に「ひおきと」より要予約


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「そこは、どこか懐かしい思い出に浸れる場所でした。」



結びに…

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