広報ひおき7月号21頁「Life」より

伊集院町武者行列保存会 会長
家村 仲五さん

拝殿に上がると身が引き締まります。拝殿の外と中では全然違う。義弘公に見られているような感じがする。この保存会を次の世代にも残して行かなければと強く感じます」。妙円寺詣りの象徴ともいえる伊集院町武者行列保存会の会長を務める家村仲五さん。400年以上続く妙円寺詣りの伝統を受け継いでいく思いをこのように話しました。
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妙円寺詣り一色に染まる10月下旬の日置市。伊集院の中央を通る一本の道筋には、徳重神社に参拝へと向かう鎧武者の行列が並びます。一歩、一歩。島津義弘公の苦難を描いた「妙円寺詣りの歌」を重厚に歌いながら、ゆっくりと歩を進める。その荘厳な雰囲気は見る者を圧倒させ、妙円寺詣りを語るうえで欠かせない光景となっています。その行列の先頭には、陣羽織を羽織り提灯を掲げる家村さんの姿があります。「物心ついた時から妙円寺詣りに参加していました。大人たちに『出ろ、出ろ』って言われて。歩いたり、歌の練習をしたり。伊集院まんじゅうをもらえるので、みんな喜んで参加していました」。この武者行列は向江町、銀天通、中央通、駅前の4つの通り会の学生が中心となった学生同志会という形で発足しました。しかし、子どもたちも少なくなり、だんだんと衰退していきます。平成4年、「このままではいけない」と4〜5人の有志が集まり、新たな組織を作ろうと立ち上がりました。「人を集めるために頭を下げて回りました。伊集院といえば妙円寺詣り。それを絶やさず、歴史と伝統を守る。それを使命と思いがんばってきました」。平成19年には伊集院町武者行列保存会として会則も設け、今では40人以上の会員が在籍しています。「みんなちゃんと仕事を持っていて、その時期になれば自然と参加してくれる。私はただ会長をしているだけ。みんな責任を持ってやってくれるので何の苦労もありません」。
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家村さんは保存会のほか、52年もの間、消防団としての活動にも力を入れてきました。24歳で中央分団に入団。「昔は中央分団が伊集院で唯一ポンプ車を持っていました。だから全ての現場に出動しないといけない。サイレンが鳴ったらとにかく行かざるを得ない。大変でした」。入団して最初の現場は工場が燃える大火事。「まだ訓練も十分にしていなくて何をしていいか分からない。今ほど防具も十分じゃない。初めて火の怖さを覚えました」。令和7年3月、家村さんは日置市消防団の団長として消防団活動を退きます。令和8年春の叙勲ではその功績が認められ瑞宝単光章を受章しました。「誰でももらえるものじゃない。これまでの苦労が報われました」。額に飾られた勲章に目を向け喜びを語りました。
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家村さんの「仲五」という名前。そこには「仲間を大切にし五常(仁義礼智信)を守る」という思いを読み取ることができます。伊集院町武者行列保存会に消防団、そのほかにもさまざまな活動を続けてきました。たくさんの交流を通じて自分の見識を広げる、それを自分の主義だと話します。「いろんな人とつながって、義理と人情に生きる。それが一番大事なことかと思うんです」。地域のつながりを大切にし、仲間を信じる。この取材を通じ、その名が示す真っすぐな生き方を伺うことができました。