広報ひおき9月号25頁より
ミュージシャン&企業家
坂口 修一郎さん
アメリカに行くと、お店や公園によく書いてあります。『良き隣人であってください』とだけ。日本だと『ボール遊びはダメ』とか『静かにしましょう』とか。良き隣人であるためにはどうすればいいか自分で考えることもできる。禁止するだけじゃなくて、いろんな答えがあるかと思うんです」。夕日の見える海沿いに建つ坂口さんの家を訪れると、その言葉がそこかしこに掲げられていました。”Be A Good Neighbor”。この言葉には坂口さんの生き方が込められているように思えました。
ミュージシャン&企業家
坂口 修一郎さん
アメリカに行くと、お店や公園によく書いてあります。『良き隣人であってください』とだけ。日本だと『ボール遊びはダメ』とか『静かにしましょう』とか。良き隣人であるためにはどうすればいいか自分で考えることもできる。禁止するだけじゃなくて、いろんな答えがあるかと思うんです」。夕日の見える海沿いに建つ坂口さんの家を訪れると、その言葉がそこかしこに掲げられていました。”Be A Good Neighbor”。この言葉には坂口さんの生き方が込められているように思えました。

幼いころからトランペットを吹いていたという坂口さん。高校を卒業し東京の大学へ進学すると、同級生たちとバンド活動を始めます。その後、レコード会社と契約。「DoubleFamous」というグループで本格的な音楽活動を始めました。「いろんな国の音楽をミックスしていたので無国籍楽団と呼ばれていました。自分らで言ったんじゃなくて、雑誌がそう呼び始めたんです」。デビュー後もさまざまなフェスやイベントに呼ばれるなど人気を博すようになります。
鹿児島を出て20年が経とうとするころ、坂口さんはある思いを抱くようになります。「デザイナーやアーティスト、音楽だけじゃなく、さまざまなクリエイティブな人が交流できる場を作りたいと思ってました。そういう場所が鹿児島にあれば」。坂口さんは東京と鹿児島を行き来し場所探しに奔走します。そうして平成22年、南九州市の廃校で第1回目となるイベントが開催されました。その名も「グッドネイバーズ・ジャンボリー」です。「いわゆる音楽フェスみたいにはしたくないと思っていました。音楽だけが偉いわけでもないんで。音楽を聴きに来た人がクラフトの世界にも目覚める。そういうプラットフォームにしたかった」。小規模でスタートしたイベントも年々人気が高まり、10回目を迎えるころには2000人以上が集まる人気イベントとなりました。しかし、その翌年には新型コロナウイルスの大流行が始まります。それでも規模を縮小し人数を限定するなど、工夫を凝らしながら開催を続け、15回目となる令和6年、イベントは最終回を迎えます。「規模縮小で逆にいい感じで開催することができました。それまでは実行委員も大変だったんで。自分たちも楽しめることができて、コロナも明けて。いい感じで終わりを迎えることができました」。

新型コロナウイルスの流行は働き方にも変化をもたらします。リモートワークが広まり都市圏を離れての仕事が可能となりました。その頃、自らの会社を立ち上げていた坂口さんは故郷・鹿児島への思いを募らせていました。「幼いころ親父に連れられて吹上浜によく釣りに来ていました。砂丘の風景がすごく好きで。東京でもずっと海沿いの場所を探してました」。ようやく見つけた古い民家は東シナ海に沈む夕日の見える場所でした。そうして坂口さんは3年前に家族で日置市に移り住みます。

リモートでの仕事が中心となりますが、それでも年の半分以上は全国を飛び回ってるのだそうです。「家に戻った時は釣りをしたりレコーディングしたりして過ごしています。東京ではとてもじゃないけどできない。友だちが遊びに来たときは、みんなこの風景に絶句しています」。窓の外に見える夕日を見ながら坂口さんは続けます。「この風景ってすごい財産じゃないですか。自分のではなくてみんなのもの。いつか友人たちとこれを共有できれば」。その家の入口には”Be A Good Neighbor”という言葉が掲げられています。良き隣人たちが集う場所。この海沿いの家はそんな場所になるのかもしれません。

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